『志望動機』の書き方 [改訂版]|ES&履歴書編

2020年6月3日水曜日

就活

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こんにちは、ブリキらっこです。

今回は『志望動機』の書き方についてお話しします。

今回の『志望動機』解説は、この記事までの『就活のすゝめ』シリーズの全ての解説の上に成り立っています。そのため、先にそちらを読んでおくことをオススメします。

すでに全て読んでいる場合でも、就職活動に必要なマインドその2を振り返った状態で、この記事を読むことをオススメします。

解説の流れとして、
まず、私が創作した人物が書いた『志望動機』の悪い例と良い例を見ていきます。

次に、悪い例と良い例について、マインドその2と照らし合わせることで、それぞれ何が悪くて、何が良いのか見ていきます。

最後に『志望動機』を書く上でのフォーマットを示します。

ここで、前回までの『頑張ったこと』と『自己PR』の場合、その人の『経験』によって、ベストな書き方が変わってくるため、あまり型を定めずに「コツ」という形で教えてきましたが、今回の『志望動機』に関しては、もはや「フォーマット」が決まっています。

というのは、私自身が十数社分の志望動機を書いて確信しました。

もちろん、ちゃんと理屈もありますので、安心して読んでいただければと思います。

(※ 記事を一通り読み終わったら、今度は記事を参考として見つつ、自分でも実際に書いてみてください。受動的でなく能動的に行動に移すことが重要です)


1. 『志望動機』 悪い例


私は被災地でのボランティア活動で、貴社が給水用のパイプラインを供給していることや農機を製造していることを知って興味を持ちました。また、ダクタイル管や芝刈り機の世界シェアなどで首位を占めており、私はグローバルに働きたいと考えていたため、非常に惹かれました。しかし、ボランティア活動の際、貴社のパイプ供給が遅れるという状況に遭遇し、困っている人々を目の当たりにしました。この経験から私は入社後、生産管理職につきたいと考えています。私が身につけてきた対人スキルや調整力により、今後こういった問題をなくすためのシステムを作り、貴社と社会に貢献したいと考えております。(279文字)


2. 『志望動機』 良い例


私は生活に欠かせないものと関わって国内外で働きたいと考えており、被災地でのボランティア活動をきっかけに、衣食住に関わる水関連及び農機事業に興味を持ちました。業界内でも貴社は国内で唯一両方の事業に注力し、世界トップシェア製品を持つグローバル企業です。なにより『地球規模で人々の生活を豊かに』という理念に強く共感し、私も『知らない誰かの明日を創る仕事』をしたいと思いました。入社後は生産管理職を希望し、培ってきた対人スキルや調整力を活かしつつ、機械の知識を学んでさらに成長したいです。そして将来、『新しい価値を生み出す』人材として貴社に貢献したいと考えております。(280文字)

※ ここで『』のついているものは、ホームページやパンフに掲載されている企業のキャッチコピーです。

※ 文字数が280文字程度なのは、私の大学の履歴書の文字数がだいたいこのくらいだったため、それに合わせています。大学によって履歴書は多少違うので、書き出す前に文字数をカウントしておくと良いです。


3. マインドその2と照らし合わせよう


3.1 悪い例の場合


マインドその2と照らし合わせると、自身の『経験』『能力』『性格』のうち、「ボランティア活動」の『経験』と「対人スキルや調整力」といった『能力』を根拠としており、この点は良いと言えます。

特に、「対人スキルや調整力」という『能力』に関しては『頑張ったこと』ですでに提供した情報です。このように、『頑張ったこと』や『自己PR』の『経験』『能力』『性格』を『志望動機』の中で根拠として述べると、履歴書全体の一体感や一貫性に繋がります。

一方で、文章の後半において、自身のボランティア活動の『経験』から「パイプ供給の遅れ」という企業の問題点を挙げ、それに対して将来、培った『能力』により「生産管理職になって現状の問題をなくすシステム作り」を自分が行い、会社に貢献したいと言っています。

つまり、肝心のラストスパートで、せっかくの『経験』『能力』を『技術』として見せるような口調になってしまっています。

この点において、この『志望動機』には問題があります。


3.2 良い例の場合


マインドその2と照らし合わせると、悪い例と同様に、自身のボランティア活動の『経験』をきっかけとして、水関連及び農機事業に興味を持ったと話しており、『経験』を根拠としており、良いと言えます。

また、これまでの彼の『頑張ったこと』や『自己PR』から伺える、周囲への献身的な『性格』や、被災地でのボランティア活動をしてきた『経験』暗黙の根拠として働き、「地球規模で人々の生活を豊かに」という企業理念や「知らない誰かの明日を創る仕事」というキャッチフレーズに彼が共感したという主張説得力を持たせています。

補足:たとえば、学業・研究一筋の人が同様の共感を示しても、同レベルの説得力は生まれないでしょう。そういう人は、「『新しい価値を生み続ける』という貴社の理念に惹かれました」とか言っていた方が、自然であり、納得感があります)

文章の後半においては、自分の培った対人スキルなどの『能力』を「生産管理職になって活かしたい」だけでなく、まだ知らない「機械の知識も知ってさらに成長したい(中略)貢献したい」という語り口では、自身の手持ちを『素養』として見せています。


どうでしょうか。

以上で、「『技術』として見せる」と「『素養』として見せる」の違いが、以前より分かってもらえたのではないでしょうか。

それぞれ「セリフ」で言い換えるならば、

『技術』として見せる」は、

「貴社って、こんな問題で躓いて悩んでいるよね?俺ってこんなことしてきたし、できちゃうからね。貴社の問題も解決してやんよ!」

といった感じで、
『素養』として見せる」は、

「貴社はこんなとこ目指してますよね。今の自分はこんなことしかできませんが、役に立つように頑張るので、お力添えさせて頂きたいです」

といった感じでしょうか。

つまり、上からではなく斜め下から寄り添うように、『経験』『能力』『性格』を交えて、自分の希望や将来像を述べることが重要ということです。


4. 『志望動機』のフォーマット


良い例の志望動機は以下のような順番で構成されており、これがほぼ決定版のフォーマットになります。

(1) 就活の軸をざっくり述べる

(2) その企業の扱う製品・事業(業界)に興味を持ったことをざっくり述べる

(3) 同じ業界内でも、その企業のどこに惹かれたのかざっくり述べる

(4) 自分の希望職種と将来像をざっくり述べる

プラスα:ステップ(1)~(4)ステップで言えること

ここで、各ステップについて詳細にお話しします。
この解説を読んだ後では、悪い例の構成がいかにグダグダで分かりにくいかが見えてくると思います。

(1) 就活の軸をざっくり述べる


ステップ(1)では『就活の軸』について、つまり『自分がどういう基準で企業を選んでいるのか』をざっくり述べます。良い例では、

「生活に欠かせないものに関わって国内外で働きたいと考えており」

がざっくりまとめた彼の『就活の軸』です。

この『就活の軸』は、(面接対策編でも述べますが)面接ではかなりの高確率で質問されるため、しっかり詳細まで考えておく必要があります。その上で、『志望動機』においては、『就活の軸』のポイントを押さえて、少ない文字数でまとめることが重要になります。

例えば、良い例の場合、「生活に欠かせないものに関わること」と「国内外で働くこと」の2点がポイントになります。

なぜ、このようにまとめる必要があるかというと、ここで述べた『就活の軸』はその後のステップ(2), (3)で述べる内容の根拠として働くからです。

その詳細は以降のステップで解説します。


(2) その企業の扱う製品・事業(業界)に興味を持ったことをざっくり述べる


ステップ(2)では、その企業の扱う製品・事業(業界)に興味を持ったことをざっくりと述べます。

良い例の文中では、

「被災地でのボランティア活動をきっかけに、衣食住に関わる水関連及び農機事業に興味を持ちました」

というフレーズがこのステップ(2)にあたります。

ここで、ステップ(1)の『就活の軸』である「人々の生活に欠かせないもの」がステップ(2)の「衣食住に関わる水関連及び農機事業」の根拠として対応していることが分かります。

このように、『就活の軸』はその後の主張の根拠になるため、短く上手にまとめることが重要と分かります。

次に、ステップ(2)そのもののポイントとして、良い例の「被災地でのボランティア活動をきっかけに」のように、短くていいので理由を述べてから、その製品または事業に興味を持ったことを述べた方が好ましいです。可能な限り理由をつけましょう。

興味を持った対象は、製品でも事業でも良いですが、その辺りは企業に合わせて自分で見極めてください。

さて、ステップ(2)までの内容では、読み手である企業側の採用担当は、

「では、なぜ(同じ製品または事業を扱っている)競合他社がある中、うちでないとダメなんだ?」

と疑問に思うのが道理です。ここで、ステップ(3)に続きます。


(3) 同じ業界内でも、その企業のどこに惹かれたのかざっくり述べる


ステップ(3)では、同じ業界でも、その企業のどこに惹かれたのか、「御社じゃないとダメなんです!」と言える理由をざっくり述べます。

良い例の文中では、

「業界内でも貴社は国内で唯一両方の事業に注力し、世界トップシェア製品を持つグローバル企業です。なにより『地球規模で人々の生活を豊かに』という理念に強く共感し、私も『知らない誰かの明日を創る仕事』をしたいと思いました」

という文章がステップ(3)にあたります。

ここで、前半の内容では、「世界トップシェア」であることに触れていますが、ステップ(1)の「国内外で働きたい」という『就活の軸』にも対応しています。

しつこいようですが、このようにステップ(1)の『就活の軸』には、ステップ(2), (3)の伏線になるよう、意図を込めて書くと良いです。ステップ(1)の『就活の軸』の重要性がよく分かります。

次に、このステップ(3)では、『業界・企業研究』というのは非常に大事になってきます。

入りたい企業のことだけでなく、業界の全体像や同業他社とどう違うのか知っていないと、この例のようには書くことはできません。

間違ったことを覚えていたり、いい加減に構えていたりすると、面接で余計なことを言って躓いてしまう可能性もあります。

よって、『業界・企業研究』は十分に行うようにしましょう。

例のように、ホームページに載っている企業理念や、求める人材や目指す姿のキャッチフレーズなどを文中に入れるのも効果的であり、わざと『』をつけてアピールすると良いです。

さて、ステップ(3)までの内容まで読んだら、企業は、

「なるほど、だから業界内でもうちに一番入りたいと言っているわけだな。では、うちに来たとして、この人はいったいどう活躍してくれるんだろうか」

と考えると想像できます。
そこで、ステップ(4)に繋がります。


(4) 自分の希望職種と将来像をざっくり述べる


ステップ(4)では、自分の希望職種と将来像をざっくり述べます。

良い例の文中では、

「入社後は生産管理職を希望し、培ってきた対人スキルや調整力を活かしつつ、機械の知識を学んでさらに成長したいです。そして将来、『新しい価値を生み出す』人材として貴社に貢献したいと考えております」

という最後の文章がステップ(4)にあたります。

良い例の入社後の希望職種「生産管理職」ですが、実際、事務系職種の中でも「生産管理職」では、工場と発注の間に立って生産を回すため「対人スキルや調整力」の『能力』を特に必要とされます。

よって、良い例では、彼が『頑張ったこと』で示してきた『能力』がこの職種を希望する有力な根拠として働いています。(『志望動機』では、わざわざ述べていませんが、『自己PR』の「チームで活きる状況把握力」も暗黙の根拠として働きます)

このように、これまでの『頑張ったこと』や『自己PR』で語った自分の『経験』『能力』『性格』とマッチするような職種を希望するのがベターです。納得感が高く、文章的にもまとまりますし、自己分析をしっかりしてきたという印象を与えられると思います。

次に、自分の将来像ですが、これは中々一言では語れるものでもないです。

よって、略せるものなら頑張って略すか、例のように企業の求める人材像などのキャッチフレーズを使って述べると良いと思います。もちろん、詳細を考えた上で、です。

というのも、面接ではこの辺りも細かく聞かれます。

よって、『志望動機』で述べた略やキャッチフレーズにきちんと話が繋がるように、5年後10年後の自分の将来像について、ある程度考えておく必要があります。


プラスα:ステップ(1)~(4)で言えること


以上で『志望動機』のフォーマットの4ステップはおしまいですが、全体を通して言えることは、文字数の問題で、全ステップにおいて、ざっくりとしか説明できないということです。

そう考えると、伝えたいことを十分に伝えられないような気がして、なんだか落ち着かないような、むずがゆい気持ちになるかもしれません。

ですが、ES&履歴書の『志望動機』というのは、言わばあらすじなのです。

心配せずとも、詳細なストーリーについては、面接で向こうから聞いてきます。

ひとまず、書類選考で大切なことは、あなたの『志望動機』のあらすじを読んで気に入ってもらうことです。

あらすじがめちゃくちゃな本は誰も手に取りません。

「ざっくりでいいなら、ひとまずテキトーに書いてでも何とかなるっしょ」

ならんことはないですが、それはナンセンスです。物語がないのにあらすじを書くようなものです。次につながりません。

その企業についてよく調べるのはもちろん、自分の中で、なぜその企業が良いのか、よく考え、将来像のイメージを膨らませて、よく整理して『志望動機』を書きあげましょう。



最後に。解説を読んでもらって分かったと思いますが、このフォーマットは、読み手である企業側の立場に立ち、次々と浮かぶ疑問に答えていく構成となっています。

個人的には、これ以上に簡潔で分かりやすい構成はないと思います。

ここで、改めて悪い例と良い例の文章を読むと、悪い例がいかにまとまりに欠けて、読みにくい文章になっているかが分かると思います。

よって、『志望動機』はこのフォーマットに従って書くことをオススメします。


今回の『志望動機』の書き方は以上になります。

次回は、これまで書いた『頑張ったこと』『自己PR』『志望動機』の良い例と悪い例を実際の履歴書のように並べて、履歴書全体として比較します。
全体を通してみると、かなり大きな差があることに驚くと思います。

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