その履歴書はだれ目線で書いたの?
さて、履歴書ないしOpenESの良い回答例と良くない回答例を読んでもらいましたが、どうしてどっちが良い悪いなんて判断がつくのでしょうか。
それを知るには、その履歴書がだれ目線で書かれているか、を考えることがポイントになります。
結論から言えば、
1. 良い回答例は企業目線
2. 良くない回答例は学生目線
でそれぞれ書かれていると言えます。
「その2つの何がどう違うの?どうしてそう言えるの?」
とモヤモヤお思いの方へ、
その根拠は、企業目線で就職活動がどういうものか、紐解いていくと明らかになります。
そもそも就活ってなんだ?を企業目線で紐解く
学生はあくまでも学生なので、ホンモノの企業目線を再現することはできませんが、想像することはできます。学生なりに企業目線を持って、紐解いていきましょう。
ポイントは、就職活動の目的、選考の流れ、採用側と就活生の人数差の3つです。もう分かっている方もいるとは思いますが、改めてざっくり振り返ってみましょう。
2.1 就職活動の目的
就活の目的は、学卒を採用することです。おしまい★ミ
ではありません。学卒なら誰でもいいなんてわけないから、わざわざ七面倒な選考フローを設けているのです。
では、どんな学卒が欲しいのか。
それは、入社後も成長し続け、企業の発展に貢献してくれそうな、会社の未来を託してもいいと思える、そんな学卒です。
「具体性がないな、それって結局どんな学卒だ?」
その答えは、どの会社も必ず企業理念や就活生に求める人物像という形で、ホームページ等に掲げています。
つまり、企業目線での就活の目的とは、就活生たちがそれら企業理念や求める人物像に則した人間かどうかを見極め、企業の需要にマッチする優秀な学卒を採用することと言えます。
2.2 選考の流れ
ギリギリになってから実態を知る人も結構いますが、大抵の選考フローは以下の通りです。
SPI・適性試験 → 書類選考 → 一次面接 → 二次面接 → 最終面接
左から順に就活生をふるいにかけていきます。一次面接はグループディスカッションに置き換わったり、中堅・中小企業では二次面接がなかったりすることはありますが、大方この流れです。
SPI・適性検査はテストセンターまたは自宅PCから、試験用のサイトにアクセスして問題を解くパターンが多いです。時間は企業によってまちまちですが、1~2時間程度です。
書類選考では、履歴書やOpenES、企業専用のエントリーシートなどで問われる質問に対して、各項目200~400文字程度の文章で答えます。多いように見えるかもしれませんが、人ひとりの人物像を知るにはむしろ少ないくらいです。
面接は、一次面接と二次面接なら20~40分、最終面接なら40分~1時間程度のものが多いです。長いようで案外あっという間に終わってしまいます。
まとめると、書類選考において企業は、限られた少ない文字数、面接では短い面談時間の中で、人材を見極めるのに必要な情報を集めなければならない、ということになります。
2.3 採用担当と就活生の人数差
大手企業であれば選考倍率が50~100倍に至り、CMをやっているような超大手企業に関しては何百倍になることもあります。
ここでは、仮に大手企業Aの求人80名に対して応募者が倍率50倍で4000人としましょう。
4000人中2000人が前期選考を受けた考え、SPI・適性検査でだいたい半分絞れたとしても書類選考は1000人分です。これに対し、採用担当はというと、会社にもよると思いますが、数人から十数人です。
そこからさらに、
一次面接までに500人こぎつけたとして、面談をする面接官は人事から3~5人程度。
二次面接までに240人こぎつけたとして、面接官は人事と希望部署の管理職の3~5人程度。
最終面接までに120人こぎつけたとして、面接官は役員と希望部署の管理職の3~5人程度。
徐々にライバルは減っていくとはいえ、皆さんを選ぶ採用担当ないし面接官の数は圧倒的に少なく、全体を見ても20~30人だけで人選を行うと言えます。
まとめると、企業は圧倒的に少ない人数で、大量の就活生の中から優秀な人材を選別しなければならないということです。
以上、就職活動の目的、選考の流れ、採用側と就活生の人数差についてまとめると、
企業目線での就職活動とは、大量の就活生の中から、
1. 企業理念や求める人物像にマッチする人材を、
2. 少ない文字数と短い面談時間で得られる限られた情報を使って、
3. ほんの数人で選別する作業。
と言えるわけです。これってめちゃくちゃ大変なことのなでは?
改めて、その履歴書はだれ目線で書いたの?
では、就職活動を企業目線で紐解いたところで、改めて、三大質問の良くない回答例の方をざっと読んでみて下さい。
……良くない回答例って、とにかく情報が多すぎませんか?
頑張ったこと、自己PR、志望動機の印象がバラバラで、なんかすごいのは分かるけど、結局この人がどんな人なのかイマイチ見えてきません。
では、企業目線で就職活動を考えたとき、採用担当はこの良くない回答例の履歴書を読んで、この人に魅力を覚えるでしょうか。
私なら、途中でめまいがして読むのを止めます。
だって、他にもたくさんの学生の履歴書に目を通して、誰がわが社にふさわしいか判断しなければならないのに、こんな掴みどころのない学生一人に構ってられません。
他にも履歴書は数百枚あるんですから、もっと優秀な子はたくさんいるはずです。
学生目線で考えれば、学生時代の経験や能力をたくさんアピールすれば、「こいつはすごい!採用!」ってなるんじゃね?と思うかもしれません。もしくは、「培ってきたものを余すところなくアピールしたい!」と、とにかくたくさん書くかもしれません。
しかし、企業目線で就職活動を見たとき、それは大きな間違いです。数百人も応募があれば似たような経験や能力の持ち主なんて腐るほどいるわけで、良くない回答例のようにアピールの仕方が悪いと、せっかくのそれらも有象無象に埋もれてしまいます。
だから、良くない回答例は学生目線で書かれた良くない履歴書と言えるのです。
では、企業目線で就職活動を見た上で、学生はどのように履歴書やOpen ESを書くべきでしょうか。
答えを一言で言えば、キャラクタライズをすることです。詳細は次回の記事から説明しますが、簡単に言えば、キャラクタライズとは、皆さんがどんな人なのかを経験、能力、性格の3要素からバランスよく特徴づけることを意味します。
具体例として、良い回答例の履歴書では、キャラクタライズを行っています。
頑張ったことと自己PRでは、それぞれテニスサークルと居酒屋バイトの経験をベースに、周囲への思いやりがある性格を一貫して示し、その性格から想像しやすいコミュニケーション力や状況把握力といった能力をアピールしています。そして、そこで述べた経験・能力・性格が、続く志望動機における彼の主張に、より納得感を持たせています。
履歴書全体としてまとまりがあり、一回読めば「この人はだいたいこんな人だな」と魅力が伝わりやすいものとなっていることが分かります。
だから、良い回答例は企業目線で書かれた良い履歴書と言えるわけです。
「じゃあ、そのキャラクタライズってどうやればいいのさ」
というわけで、
続く記事では、キャラクタライズの具体的な方法を、履歴書ないしOpenESの三大質問の答え方とともに解説していきます。
ちなみに
ちなみにですが、たとえ、良くない回答例の履歴書が書類選考で通ってしまったとしても、その後の選考はうまくいかない可能性が高いです。
なぜなら、就活の選考は数珠繋ぎであり、その履歴書は最終選考まで残るからです。選考会議は、学生本人が書いた履歴書を軸に、面接で得られた情報を追加して、人物像を補足しながら進められると考えられます。そこで、履歴書の出来が学生目線のものは、企業目線を意識した他の就活生のものより見劣りしてしまうことは想像に難くありません。したがって、途中で脱落してしまって、最後まで残れない可能性が高いと言えるわけです。
履歴書、OpenES、企業専用エントリーシートなど、書類選考で提出する書類は、一番の力の入れどころです。真面目に書きましょう。
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