こんにちは、ブリキらっこです。
ここでは、『学生時代に最も頑張ったこと(力を入れたこと)』、いわゆる『ガクチカ』の書き方を紹介します。
キャラクタライズの考え方が基盤になるので、キャラクタライズの簡単解説記事をまだ読まれていない方はこちらをクリック。その方が理解が深まります。
では、始めていきましょう。まずは良くない例文と良い例文をさらっとご覧ください。
頑張ったことの良くない例
私が最も頑張ったことはテニス同好会での活動です。大学からテニスを始めたにも関わらず、大学2年生には近隣の5大学の合同大会で優勝することができました。さらに3年生になると、誰とでも上手く話すことができるという理由で周囲から推薦されて、同好会の会長の仕事を引き受けました。そこで、特に他大学との試合を組むことにおいては一際力を注ぎました。会内ではメンバーが気持よく試合に臨めるように彼らの気持ちに細心の注意を払うこと、会外では1カ月以上前から対戦先の大学と連携を取り、段取りを決めることが必要となります。そのため、試合を何度も組むうちに計画力が身に付き、メンバー全員に心を開いて話してもらうために奮闘するうちに、コミュニケーション能力と交渉力をさらに鍛え上げることができました。また、予算及びスケジュール管理などがこれまで非常に雑に行われていたため、その形式を独自に作るといったことも行いました。(398文字)
頑張ったことの良い例
私が最も頑張ったことはサークル活動です。テニス同好会の会長を務め、周囲の期待から引き受けた役職でしたが、やるからには誰もが楽しめる同好会にしようと誓いました。しかし、ある試合の後、会内に不穏な空気が漂っており、原因はダブルスのペア決めでした。私が相性を甘く見て決めたため、試合中に不和が生じてしまったのです。以来、活動参加者は減り、一時は役目を投げ出してしまいそうでした。しかし、初心に返って考えた時「自分のためにも皆のためにも、やると決めたからにはやるぞ」と強く思い、それからは以前より各個人と親身に向き合い、関係図を作る等の工夫もして、試合を組むようにしました。結果、試合の度に「ありがとう、楽しかった」と言ってもらえるようになり、誰もが楽しめる同好会を実現できました。この経験で私は、多様な考え方への柔軟な対応や交渉術を学びました。貴社でどんな困難に遭っても、柔軟に構えて乗り越えていきます。(399文字)
頑張ったことの書き方 4つのコツ
経験、能力、性格は1つずつ
まず、良くない例から読み取れる経験、能力、性格を整理すると以下の通りです。
経験:3つ(大会で優勝、試合設定の仕事、部内管理の仕事)
能力:3つ(計画力、交渉力、コミュニケーション能力)
性格:なし
ストーリーのベースとなるはずの経験が3つもあることで、話題が次から次へと移り、とりとめのない印象を与えてしまっています。能力にしても「たくさんアピールしよう!」という意思は伝わってくるのですが、人物像がイマイチ見えてきません。性格がはっきり察せられる記述がないこともあって、のっぺりした文章になっています。
一方で、良い例はどうでしょうか。同じく経験、能力、性格を整理すると以下の通りです。
経験:1つ(テニス同好会の試合設定の仕事)
能力:2つ(対応力、交渉力(類似))
性格:1つ(チームを大切にする=仲間思い)
良い例は、テニス同好会の試合設定の仕事という経験をベースに、初心と仲間思いな性格によって難局を乗り越え、対応力と交渉力という能力を身に着けたというストーリーがすんなり入ってくる、飲み込みやすい文章になっています。
このように個性的で分かりやすい自分像を描くためには、経験、能力、性格の三大要素を1つずつに絞ること、そして、各要素を結び付けて1つのストーリーに収めることが重要になります。これをキャラクタライズと呼んでいます。
(今回の例は能力が2つありますが、ストーリーから連想しやすい類似する能力であり、違和感がないので問題ありません)
では、そのストーリーをどうしたら上手くかけるのか、ということを次のコツで説明します。
起承転結が基本のキ
頑張ったことの良い例を見ると、ストーリーの起承転結がはっきりしていることが伺えます。分かりやすいように起、承、転、結、でそれぞれ色を塗ると、以下のようになります。
私が最も頑張ったことはサークル活動です。テニス同好会の会長を務め、周囲の期待から引き受けた役職でしたが、やるからには誰もが楽しめる同好会にしようと誓いました。しかし、ある試合の後、会内に不穏な空気が漂っており、原因はダブルスのペア決めでした。私が相性を甘く見て決めたため、試合中に不和が生じてしまったのです。以来、活動参加者は減り、一時は役目を投げ出してしまいそうでした。しかし、初心に返って考えた時「自分のためにも皆のためにも、やると決めたからにはやるぞ」と強く思い、それからは以前より各個人と親身に向き合い、関係図を作る等の工夫もして、試合を組むようにしました。結果、試合の度に「ありがとう、楽しかった」と言ってもらえるようになり、誰もが楽しめる同好会を実現できました。この経験で私は、多様な考え方への柔軟な対応や交渉術を学びました。貴社でどんな困難に遭っても、柔軟に構えて乗り越えていきます。(399文字)
起承転結を意識することで、挑戦→挫折→改善・再挑戦→成功・成長、という歯切れの良いサクセスストーリーを作ることができています。
そして、起承転結を作るにあたって、最も簡単なのは何かを乗り越えた経験を書くことです。(実際に乗り越えてなくても、まるで乗り越えてきたかのように書くこともあります)
私自身、就活で準備したほとんどのストーリーがこの構成でした。最も扱いやすく手堅いです。
さて、起、承、転、結の転には太字の箇所が、起承転結の後には紫色で塗った箇所がありますね。実はこれらが残り2つの重要なコツとなっています。続けて説明していきます。
「セリフ」でお気持ち表明
3.2節で色付けした良い例において、緑太字の箇所が「セリフ」お気持ち表明になります。
「こんなの必要なくない?恥ずかしいんだけど」
と思う方もいるかもしれませんが、「セリフ」には以下の3つの機能があります。
1. 承→転への展開を自然と行う
2. ストーリーにドラマを持たせる
3. 三大要素の1つ性格をアピールできる
良い例を改めて読むと「セリフ」を境に、承→転へと滑らかに繋がっています。そして、読み手に心を開き、共感を誘っていることが分かると思います。
TVドラマや漫画、アニメが面白くて、授業がつまらないのには、そこに感情移入できるドラマがあるかないかの差があることが理由として挙げられます。採用担当も人間なわけで、その上、何枚もの履歴書を読むのです。文章として引き込まれるポイントがなければ印象には残りません。(対比として、良くない例を読んでみると、随分とのっぺりした文章に見えると思います)
また、この「セリフ」には本人の性格が宿ります。同じような経験を経ても、苦難を乗り越えたときの心境は十人十色でしょう。つまり、この「セリフ」こそ、性格をアピールするチャンスにもなってくるわけです。
いかがでしょう。「セリフ」の重要性が分かっていただけたのではないでしょうか。
性格と来ましたら、次は能力をアピールする最後のコツになります。
最後に経験から学んだことを+α
3.2節で色付けした良い例について、紫色で塗った箇所が+αの経験から学んだことになります。
学んだことには以下の2つの機能があります。
1. 成長できる人間であることをアピール
2. 三大要素の1つ能力をアピールできる
「経験から学んだこと」という文言には、「以前の自分には備わっていなかったもの、もしくは、足りていなかったものが経験を通して身につきました」という意味が含まれます。
つまり、学んだことを最後に加えることにより、能力だけでなく、自分の弱点や不足に気が付いて、成長できる人間であることをアピールできます。
3つ目の記事にて先述した通り、企業が求めているのは「入社後も成長し続け、企業の発展に貢献してくれそうな、会社の未来を託してもいいと思える学卒」です。完璧さをアピールする就活生はむしろ煙たがられます。ミスをしても、そのミスを認めて消化し、次に活かして成長できる人間なら良いのです。
最後に、「貴社でどんな困難に遭っても、柔軟に構えて乗り越えていきます」の文は締めの言葉ですが、付けるか付けないかは賛否両論あります。私は文字数が許せば、つけた方が良いと考えています。
さて、いかがだったでしょうか。
『学生時代に最も頑張ったこと』の書き方を解説しましたが、これらをただの読み物として終わらせてしまうのではなく、実際に使って書いて、徐々に自分のものにしていくことが重要です。ぜひ、挑戦してみてください。
次回の記事では、似たような流れで『自己PR』の書き方を解説していきます。ぜひご活用ください。
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