こんにちは、ブリキらっこです。
ここでは『自己PR』の書き方についてお話しします。
前回の『学生時代最も頑張ったこと』の書き方を読んだ前提で話を進めるので、
まだ読んでいない場合は、先にそちらを読んできてください。
解説の流れとして、
まずは、私が創作した人物が書いた『自己PR』の『良い例』と『悪い例』を見ていきます。
次に、2つの例をマインドその1と照らし合わせて、何が悪くて何が良いのかを見ていきます。
最後に、マインドその1とは別の『自己PR』を書く上でのコツ4つを紹介します。とはいえ、うち2つは『頑張ったこと』の書き方と同じですので詳細は割愛し、解説するのは2つです。
では、さっそく始めましょう。
(※ 記事を一通り読み終わったら、今度は記事を参考として見つつ、自分でも実際に書いてみてください。受動的でなく能動的に行動に移すことが重要です)
1. 『自己PR』 悪い例
私には『情報を精査して考える力』があります。この力でアルバイト先の窮地を救いました。私は大学付近の居酒屋でバイトリーダーを務めています。1年前、お店の売上が急に下がり始めるという事態が発生し、私は経済学部なので、それが社会全体の経済状況とはあまり関係ないと判断しました。また、他店に赴いて様子を見た結果、客入りや精算レシートの量から、他店は盛況であると判断しました。そこで次に、客層が大きい大学生に注目し、学内の友人や同好会の仲間に自店の問題について尋ねた結果、他店に比べて酒類が少ないことやコース料理の値段が高いことが大きな問題点だと分かりました。私は費用が大きいメニューを一時減らし、酒類の充実やコース料理の値段低減、そして宣伝広告に費用を回す提案をし、店長に実行して頂きました。結果、お店の売上は回復し、遂には過去最高売上を突破しました。このように私には『情報を精査して考える力』があります。(398文字)
2. 『自己PR』 良い例
私には『チームで活きる状況把握力』があります。2年生から居酒屋でアルバイトを始め、周りの皆さんのおかげですぐに馴染めました。一方で、お店の売上は徐々に下がり、危機的状況に陥っていました。店長や社員の方々は明るい様子でしたが、確実に士気は下がっており、「どうにかして役に立ちたい」と思いました。そこで、私は自分がアルバイトという従業員の中で最も時間があり、顧客に近い立場にある点に注目しました。そして、学内の友人や同好会の仲間に意見を求め、他店に赴いてその強みや特徴を調べる等の調査を行い、自身の考察や提案も踏まえた調査資料を店長に提出しました。店長は快く受け取って下さり、全従業員が一丸となって対策を練りました。その結果、売上は回復し、遂には過去最高売上を超えるという結果に繋がりました。このように、私には『チームで活きる状況把握力』があり、この力を貴社ではさらに伸ばし、活用していきたいです。(396文字)
※これらの例は、OpenESの前提で書かれています。履歴書は大学によって文字数が異なるため、今回はOpenESを採用して書きました。
3. マインドその1と照らし合わせよう
3.1 悪い例の場合
悪い例についてみていくと『経験』と『能力』の要素は1つずつあるが、『性格』に関する情報が一切ないことがわかります。
また、『情報を精査して考える力』という『能力』に関する『経験』を事細かに語りすぎであり、全体的に非常に淡々とした文章になってしまっています。
これは、初めて書く人や準備不足の人で実際によく見られるパターンです。
さらに、『頑張ったこと』の良い例と合わせて見たとき、2つの文章を通して同じ人物が全くみえてきません。
これでは、エントリーシートや履歴書全体としての一体感や一貫性に欠けます。
3.2 良い例の場合
良い例についてみていくと『経験』『能力』『性格』の要素が1つずつバランスよく組み合わさっています。
また、『頑張ったこと』の良い例で見受けられた、この人の献身的な性格や周囲に馴染みやすい雰囲気に関する情報を、今回の『経験』に合わせて要所要所で表現することで、同じ『性格』を一貫して主張しています。
ここで、悪い例に示したように、最初は大抵の人が『経験』を事細かに語りたがりますが、そんなことは面接で聞かれたときに答えれば良いのです。
今回の例では、事細かに語った内容がわりと簡単ですが、これが大学院生の場合は研究などに置き換わるかもしれません。留学経験者なら留学先の国のことなどになるでしょう。
そうなってくると、事細かに語ったところで、
畑違いの採用担当からしたら、
「なんかすごいけと、よくわからない」
といった印象だけが残り、
この場合に伝わるあなたの魅力や凄みというのは、
あなたが期待しているより遥かに少なくなってしまいます。
『頑張ったこと』にしろ『自己PR』にしろ、
最終目標は一度たくさんのエントリーシートや履歴書に目を通す採用担当に、あなたを最大限魅力的に見せつつ、面接への布石となる情報を提供することです。
そのためにはある程度記憶に残る、万人に分かりやすい内容でなくてはなりません。
これ前提として考えると、エントリーシートや履歴書の段階で『経験』を語りすぎるのは、目的とは少しずれています。
よって、マインドその1や以下で紹介するコツをもって、まるで唯一無二の存在のように見える『自己PR』を作るようにしましょう。
4. 『自己PR』を書く上でのコツ4つ
ここまでは、マインドその1に照らし合わせて、良い例と悪い例を比べてきましたが、ここからは良い例に込められたコツについて述べていきます。項目は以下の4つになります。
(1) 『経験』『能力』『性格』の各要素は基本1つまで!『性格』はなるべく一貫しよう!
(2) 何かを乗り越えた経験を書いて「セリフ」でお気持ち表明!ドラマを持たせる!
(3) 『頑張ったこと』と『自己PR』の違いを理解して書こう!
(4) 最初の『キャッチコピー』は後回し!まずは内容重視!
コツ(1)と(2)に関しては『頑張ったこと』の書き方で述べたことと内容が同じであるため解説は割愛します。これらの詳細についてはこちらを参照してください。
(3) 『頑張ったこと』と『自己PR』の違いを理解して書こう!
コツ(2)に示す『何かを乗り越えた経験』によって『自己PR』を書いた結果、『頑張ったこと』と『自己PR』が全く同じ構成になってしまうことがあるため、ここではっきりとそれら2つの違いについて理解しておきましょう。
単純に言えば、
『頑張ったこと』と『自己PR』の違いは、メインでアピールしたい対象です。
『頑張ったこと』では、
「何かを頑張って乗り越えた結果、○○ということを学びました」
という語り口で『学んだこと・身に付いたこと』を最終的にアピールするのに対し、
『自己PR』では、
「自分の○○という能力・性格があったから、何かを頑張って乗り越えられました」
という語り口で『元々あった能力・性格』を前面に出して伝えることがメインです。
よって、『頑張ったこと』と『自己PR』をうっかり同じ構成で書いてはいけません。
そのようになっていないか、そのチェックも踏まえて『自己PR』を書く際には、例のように文章の最後に「このように私は○○です」と冒頭で述べたPRポイントである『キャッチコピー』を再度述べると良いです。
そのとき、文章として上手く繋がらない場合は『自己PR』としてではなく『頑張ったこと』として書いてしまっている可能性があるので、書き直す、または、それはそれで面接用にとっておいて、別のエピソードで試すと良いでしょう。
(4) 最初の『キャッチコピー』は後回し!まずは内容重視!
当時の私含め『自己PR』を初めて書く人にありがちなことが、最初の『キャッチコピー』を決める段階で迷走してしまい、無駄に時間を食ってしまうことです。
「自分ってなにがある?研究で活きたのは分析力だけど。いやでも問題発見力と状況把握力があるから分析できたわけで。冷静な性格もあるってことにもなるし、分析した結果、問題を解決してきたから問題解決能力もあるな。諦めない粘り強さも役立ったな……あれ、長所、多すぎないか?」
といった具合に混乱してしまいます。
こんなことになる前に、よく理解しておくべきことが1つあります。
それは、こういった種の『能力』それから『性格』なんてものは、
有り無しの問題ではなく、そもそもパラメータ性のものであるということです。
要は、
『能力』なら『行動力』だとか『リーダーシップ』だとか、
『性格』なら『明るい』だとか『冷静』だとか、色々ありますが、
だいたいみんな同じようなものを持って生きているのです。
ただ、人によって各要素のパラメータの大小が異なっていて、
普段はそれらが組み合わさって1人の人格が出来上がっているため、
人間は十人十色に見えるというだけの話です。
例えば、10段階評価で『明るい』性格要素が、10レベルの人もいれば、5レベル、1レベルの人もいますが、0レベルの人はいないのです。
つまり、
ぶっちゃけ言って、自分にとってパラメータが高めのものなら、
どの『能力』『性格』で『キャッチコピー』を作ったっていいわけです。
だから、『自己PR』を書く際には、とりあえずの『仮キャッチコピー』は最初に書きます。
しかし、あまりそれには拘らず(なんなら一旦忘れて)ストーリーを重視した内容作成に取り組んでから、最後に『キャッチコピー』を改めて決めるというのが一番の近道です。
最初に決めた『仮キャッチコピー』に拘ると、大抵が今回の悪い例のようになってしまいます。
それよりも、とにかくまずは『頑張ったこと』の内容や、
自分の志望する企業が好む人物像から外れないように、
かつマインドその1を意識して、中身を仕上げます。
そうすると、その内容から勝手に『キャッチコピー』が決まります。
その実例が、今回の悪い例と良い例です。
実は、今回創作した人物の『キャッチコピー』だって、最初になんとなくで決めた『キャッチコピー』は悪い例の方の『情報を精査して考える力』でした。
つまりこれが『仮キャッチコピー』ですね。
これに拘って書くと、悪い例のようになります。
しかし、良い例では『仮キャッチコピー』は一旦頭の隅に追いやって、まずはマインドその1や他のコツに従って文章内容を作成しました。
そして、最後に文章全体の流れや『頑張ったこと』などとの相性も考えて『キャッチコピー』を『チームで活きる状況把握力』に変更したという感じです。
このように『キャッチコピー』は、内容を作った後に勝手に決まるので、スタートの段階でそこまで悩まないこと、そして、最初の『仮キャッチコピー』に拘らないことが大切です。とにかく、まずは内容重視で作りましょう。
『自己PR』の書き方は以上になります。
次回は、自己分析の仕方について話します。